不同意性交等罪の施行時期

 これまでの「暴行又は脅迫」から、性被害の実態に即し構成要件を広げた、不同意性交等罪が施行されたのは、2023年7月13日です。

 A子さんとのトラブルを認めた渦中の大物芸能人。同人の行為は、2023年6月とされ、これが事実なら改正刑法は適用されないことになります。

 しかし、改正前としても、「手は挙げなかった」からといって、被害者の深刻な心身の状況を考えると、同人の行為が「暴行又は脅迫」と評価される可能性は否定できません。和解契約で当事者間で守秘義務を定めたとしても、告訴が不要な非親告罪のため、事案の内容、社会に与える影響等に鑑み、捜査機関が動くことも考えられます。

時効撤廃の遡及適用

 毎年年末になると思い起こすのが、2000年(平成12年)12月30日深夜に発生した、世田谷一家殺害事件です。犯人の指紋・足跡・血痕など犯人特定につながるものや、多数の遺留品を残しているにもかかわらず、いまだ解決に至っていません。

 平成22年の刑事訴訟法改正で、殺人罪など重大犯罪の公訴時効が撤廃されましたが、憲法には、「実行の時に適法であった行為については刑事上の責任を問われない。」(39条)と、刑罰不遡及の大原則があります。

 平成22年の法改正の時点で旧法時代に公訴時効が成立していた事件については、刑事責任を問われることはありませんが、当事件を含めて、改正の施行時に公訴時効が完成していなかった過去の事件にも適用されるかが問題となります。

 最判平27.12.7は、「行為時点における違法性の評価や責任の重さを遡って変更するものではなく、被疑者・被告人となりうる者につきすでに生じていた法律上の地位を著しく不安定にするものでもない」との合憲判断をしました。

契約の成立時期

 契約は申込みと承諾の意思表示が合致することにより成立します(民522Ⅰ)。民法は到達主義をとり(民97Ⅰ)、承諾の意思表示が到達したときに契約が成立することとなります。

 従前、隔地者間の承諾の意思表示について、発信時に契約が成立する例外規定(旧民526Ⅰ)が設けられていましが、通信手段の発達とともに、この例外規定は廃止されました。

 標題下のようにメルカリで購入の申込みをすると、承諾のメールが 15:21 に到達し契約成立、1分後の 15:22 にカード会社からカード利用のメールが来ていますね。