毎年年末になると思い起こすのが、2000年(平成12年)12月30日深夜に発生した、世田谷一家殺害事件です。犯人の指紋・足跡・血痕など犯人特定につながるものや、多数の遺留品を残しているにもかかわらず、いまだ解決に至っていません。
平成22年の刑事訴訟法改正で、殺人罪など重大犯罪の公訴時効が撤廃されましたが、憲法には、「実行の時に適法であった行為については刑事上の責任を問われない。」(39条)と、刑罰不遡及の大原則があります。
平成22年の法改正の時点で旧法時代に公訴時効が成立していた事件については、刑事責任を問われることはありませんが、当事件を含めて、改正の施行時に公訴時効が完成していなかった過去の事件にも適用されるかが問題となります。
最判平27.12.7は、「行為時点における違法性の評価や責任の重さを遡って変更するものではなく、被疑者・被告人となりうる者につきすでに生じていた法律上の地位を著しく不安定にするものでもない」との合憲判断をしました。