令和4年度 解説 午後の部

 ChatGPTの最新データは、2021年9月までとなっています。その後の、法改正、判例等は反映されませんので、設問の内容によっては、ネット情報でデータを検索している、BingChat を使用したいと思います。
 ChatGPTは同じ質問をしても、毎回少しずつ答えが変わります。設問の仕方によっても回答が変わると考えますが、本試験どおりの内容で質問します。
 ChatGPT の回答及び私の見解に誤りが出る可能性大です。各自、自己責任にて参考にしてください。
 コメントいただければ、なるべく応えたいと思います。仕様上、ブログの「司法書士試験を ChatGPT で解く!!」のタイトルをクリックすれば、コメント入力できます。

なお「模範」とあるのは「模範六法」を指し、「詳細」とあるのは「詳細登記六法」を指す。

第1 問

 訴訟告知に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 当事者は、控訴審においては、訴訟告知をすることができない。

 イ 当事者は、訴訟告知をするに際し、訴訟告知の理由及び訴訟の程度を記載した書面を、訴訟告知を受ける者に直接送付しなければならない。

 ウ 訴訟告知を受けた者は、訴訟告知をした当事者に対し、訴訟告知の書面を受領したときから相当の期間内に訴訟に参加するか否かを回答する義務を負わない。

 エ 訴訟告知を受けた者は、その訴訟に補助参加の申出をしなくても、更に訴訟告知をすることができる。

 オ 一方の当事者から訴訟告知を受けた者がその訴訟に補助参加の申出をした場合には、他方の当事者もその補助参加について異議を述べることができない。

1  アイ   2  アウ   3  イオ   4 ウエ   5 エオ

  ChatGPT の回答

正しい組合せは、3. イオです。

正しい記述の組み合わせは以下の通りです:

イ 当事者は、訴訟告知をするに際し、訴訟告知の理由及び訴訟の程度を記載した書面を、訴訟告知を受ける者に直接送付しなければならない。

オ 一方の当事者から訴訟告知を受けた者がその訴訟に補助参加の申出をした場合には、他方の当事者もその補助参加について異議を述べることができない。

したがって、正しい組合せは「3. イオ」です。

私の見解

 正解は、4 ウエ
 ChatGPTの回答は誤り。訴訟告知に関する条文問題で、やや難問か。

 

第2 問

 訴訟記録の閲覧等に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 和解調書については、当事者及び利害関係を疎明した第三者でなければ、裁判所書記官に対し、その閲覧を請求することができない。

 イ 公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者でなければ、裁判所書記官に対し、その閲覧を請求することができない。

 ウ 利害関係のない第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写を請求することができない。

 エ 訴訟記録の閲覧の請求を拒絶した裁判所書記官の処分に対しては、即時抗告をすることができる。

 オ 判決書については、当事者の私生活についての重大な秘密が記載されており、かつ、第三者が当該秘密が記載された部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある場合であっても、当該秘密が記載された部分の閲覧の請求をすることができる者を当事者に限ることはできない。

1  アウ   2 アオ   3 イウ   4 イエ   5 エオ

ChatGPT の回答

正しい組み合わせは「2. アオ」です。

訴訟記録の閲覧に関する正しい情報は以下の通りです:

ア 和解調書については、当事者及び利害関係を疎明した第三者でなければ、裁判所書記官に対し、その閲覧を請求することができない。→誤り

イ 公開を禁止した口頭弁論に係る訴訟記録については、当事者及び利害関係を疎明した第三者でなければ、裁判所書記官に対し、その閲覧を請求することができない。→誤り

ウ 利害関係のない第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写を請求することができない。→誤り

エ 訴訟記録の閲覧の請求を拒絶した裁判所書記官の処分に対しては、即時抗告をすることができる。→誤り

オ 判決書については、当事者の私生活についての重大な秘密が記載されており、かつ、第三者が当該秘密が記載された部分の閲覧等を行うことにより、その当事者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがある場合であっても、当該秘密が記載された部分の閲覧の請求をすることができる者を当事者に限ることはできない。→正しい

したがって、正しい組み合わせは「2. アオ」となります。

私の見解

 正解は、3 イウ
 ChatGPTの回答で正しかったのはエのみ(異議の申立てとなる)。オについては「判決書については」が「訴訟記録中に」であれば正しい枝。訴訟記録に係る細かい条文問題で、これもやや難問の部類か。


第3 問

 訴えの利益に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。


 ア 訴え提起前の協議において被告が既に履行期にある請求権の存在を認め、訴え提起後もこれを争わないことが明らかなときは、その請求権に係る給付の訴えには、訴えの利益が認められない。


 イ 甲土地が原告の所有であることの確認を求める本訴に対し、甲土地が被告の所有であることを前提としてその所有権に基づき甲土地の返還を求める反訴が提起された場合において、所有権確認を求める本訴には、訴えの利益が認められない。


 ウ 現に生存している遺言者が提起した遺言無効確認の訴えには、訴えの利益が認められない。


 エ 債権者がその債権について執行証書を所持している場合において、同一の債権に係る給付の訴えには、訴えの利益が認められない。


 オ 将来の給付を求める訴えには、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、訴えの利益が認められる。


1 アウ   2 アエ   3 イエ   4 イオ   5 ウオ

ChatGPT の回答

正しい組み合わせは、後記2の「アエ」です。

「アエ」の組み合わせによる記述は、判例の趣旨に照らして正しいものです。

「ア」の記述は、訴え提起前の協議において被告が既に履行期にある請求権の存在を認め、訴え提起後もこれを争わない場合、その請求権に係る給付の訴えには訴えの利益が認められないという内容です。

「エ」の記述は、債権者がその債権について執行証書を所持している場合、同一の債権に係る給付の訴えには訴えの利益が認められないという内容です。

したがって、「アエ」の組み合わせが正しいと言えます。

 私の見解



第4 問

 当事者の出頭に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。


 ア 裁判所は、当事者双方が期日に出頭しない場合においても、当事者双方の同意があるときは、音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、口頭弁論の期日における手続を行うことができる。


 イ 証拠調べは、当事者双方が期日に出頭しない場合においても、することができる。


 ウ 裁判所は、当事者本人を尋問する場合において、その当事者が正当な理由なく出頭しないときは、その当事者の勾引を命ずることができる。


 エ 当事者双方が、連続して二回、口頭弁論又は弁論準備手続の期日に出頭しなかった場合には、訴えの取下げがあったものとみなされる。


 オ 判決の言渡しは、当事者の一方又は双方が在廷しない場合には、することができない。

1 アウ   2 アオ   3 イウ   4 イエ   5 エオ

 ※残念ながら、憲法第1問を除き、 ChatGPTは、正解を導くことができませんので、今回から、ChatGPTの回答を省きます。

 正解は、4 イエ
 イが正しく、オが誤っているのは、一般的な受験生なら押さえておきたい所。
 ところで、約35年前、私は最高裁判所第三小法廷(伊藤 正己裁判長)を傍聴した。傍聴人は私一人。大方「本件上告を棄却する、上告費用は上告人の負担とする。」との判決。
 なぜ傍聴人が私一人だったのか?最高裁の場合、そもそも判決言渡しの期日が当事者に通知されず、期日を知らない。通常、傍聴人がいない法廷で、淡々と判決が言渡されている。
 判決言渡しの期日が通知されると、上記判決内容が、予め分かってしまうのがその理由とされる。口頭弁論が開かれる時は、判例変更等の可能性があり、注目を集める。



第5 問

 控訴に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 控訴をする権利は、第一審裁判所が判決を言い渡す前にあらかじめ放棄することができる。

 イ 第一審判決が判決書の原本に基づいて言い渡されたときは、控訴の提起は、判決書の送達を受けた日から2 週間の不変期間内に、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。

 ウ 主位的請求を棄却し予備的請求を認容した第一審判決に対し、被告のみが控訴し、原告が控訴も附帯控訴もしないときは、予備的請求に対する第一審判決の当否のみが控訴審の審判の対象となる。

 エ 被控訴人は、既に自らの控訴期間が経過しているとき又は既に控訴をする権利を放棄しているときは、控訴審の口頭弁論の終結前であっても、附帯控訴をすることができない。

 オ 第一審裁判所が、100 万円の貸金返還請求について、60 万円の限度で一部認容する判決をした場合には、原告が請求棄却部分のうち20 万円の部分についてのみ控訴したときであっても、控訴審裁判所は、原判決を取り消して100 万円全額について請求を認容することができる。

1 アエ  2 アオ  3 イウ  4 イエ  5 ウオ

 正解は、3 イウ
 アが誤りで、イが正しいのは分かったが、ウ~オは、正誤判断できなかった。正解が3又は4までは絞り込めるが・・・・・。私には捨て問か。

 第6 問

 民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 保全命令の申立てにおいては、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性のほか、管轄や当事者能力についても疎明することで足りる。

 イ 占有移転禁止の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。

 ウ 仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければならない。

 エ 仮差押えの執行は、仮差押命令が債務者に送達される前であっても、することができる。

 オ 裁判所が保全命令を発した後、債権者が本案の訴えを提起しないときは、保全命令を発した裁判所は、債務者の申立てにより、債権者に対し、2 週間以上の相当と認める一定の期間を定めた上で、その期間内に本案の訴えを提起するとともにその提起を証する書面を提出すべきことを命じなければならない。

1 アイ  2 アエ  3 イウ  4 ウオ  5 エオ

 正解は、1 アイ
 民事保全法、民事執行法は各一問の基本的条文問題。受験生なら二問ともゲットしたいところ。
 エが正しいことは、執行妨害を避けるため、密行性が認められることから明らか。ウも正しい枝。この段階で正解は1に絞られる。
 受験生は、細かい引っ掛け問題があることから、疑心暗鬼になって設問の細かいところに目が行き、不正解に辿り着くことが往々にしてある。条文を正確に押さえるしかない。


第7 問

 執行文に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5 までのうち、どれか。

 ア 執行文の付与の申立てに関する裁判所書記官の処分に対しては、執行異議を申し立てることができる。

 イ 仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決により、これに表示された当事者に対し、又はその者のために強制執行をするには、執行文の付与を受けることを要しない。

 ウ 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。

 エ 土地の所有者Aが、その土地上に建物を所有して土地を占有しているBに対して建物収去土地明渡請求訴訟を提起し、その全部認容判決が確定した場合において、その事実審の口頭弁論終結後にAがCに対してその土地を譲渡したときは、Cは、承継執行文の付与を受けることにより、その確定判決を債務名義として強制執行を申し立てることができる。

 オ 債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあったことを証明したときに限り、付与することができる。

1 アウ  2 アオ  3 イエ  4 イオ  5 ウエ

 正解は、2 アオ
 オについては「執行開始の要件」であることに注意。

第8 問
 司法書士又は司法書士法人に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 司法書士は、他の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を移転しようとする場合には、現に所属する司法書士会を経由して、日本司法書士会連合会に対し、所属する司法書士会の変更の登録の申請をしなければならない。

 イ 司法書士法に基づく業務の停止の処分を受けた司法書士は、当該業務の停止の期間が経過した日から3 年を経過するまでの間、司法書士法人の社員となることができない。

 ウ 司法書士となる資格を有する者が、司法書士名簿への登録の申請をした場合に、その申請の日から3 か月を経過しても当該申請に対して何らの処分がされないときは、当該登録を拒否されたものとして、法務大臣に対して審査請求をすることができる。

 エ 司法書士法人は、定款に別段の定めがない場合には、総社員の同意がなければ定款の変更をすることができない。

オ 司法書士法人は、その事務所に、当該事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会の会員である社員を常駐させなければならない。

1  アイ  2 アオ  3 イエ  4 ウエ  5 ウオ

 正解は、1 アイ
 アが誤り、オが正しいのは、受験生の常識。ただ。これだけでは正解を絞り込めない。司法書士法は条文問題なので、地道に条文・過去問の学習を。

第9 問

 供託の申請手続に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 供託書に記載した有価証券の枚数については、訂正、加入又は削除をしてはならない。

 イ 電子情報処理組織を使用してする供託以外の供託の場合であっても、申出をすることにより、供託官の告知した納付情報により供託金の納付をすることができる。

 ウ 供託金の受入れを取り扱う供託所に対して供託書を送付して金銭の供託をする場合には、供託所から送付を受けた供託書正本と保管金払込書を日本銀行の本店、支店又は代理店に提出して供託金の納入をすることができる。

 エ 同一の供託所に対して同時に数個の供託をする場合には、供託書の添付書類に内容が同一のものがあるときであっても、供託書ごとに当該添付書類を添付しなければならない。

 オ 被供託者が法人であるときは、供託書の被供託者の住所氏名欄には、その名称、主たる事務所だけでなく、代表者の氏名をも記載しなければならない。

1 アイ  2 アエ  3 イオ  4 ウエ  5 ウオ

 正解は、1 アイ
 オについては「被供託者」であることに注意。現役時代、供託されたアメリカ財務省証券(米国債)の払渡しを受けるために、これを保管している日銀支店に赴いたことがある。


第10問

 弁済供託に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 建物の賃貸借における賃借人は、債務の本旨に従って賃料を賃貸人に提供し、賃料の受領と引換えに受取証書の交付を請求した場合において、賃貸人が賃料は受領しようとしたものの、受取証書の交付を拒んだときは、受領拒絶を原因とする弁済供託をすることができる。

 イ 不法行為に基づく損害賠償債務について、債務者及び債権者の間で損害賠償の額に争いがあるために受領拒絶を原因とする弁済供託がされた場合において、被供託者が還付請求をするときは、損害賠償金の一部として受領する旨の留保を付すことはできない。

 ウ 不法行為に基づく損害賠償債務の債務者は、損害賠償額に相当する額に履行の請求を受けた日から弁済の提供の日までの遅延損害金を加えた額をもって、弁済供託をすることができる。

 エ 弁済供託の供託者が供託所に対して供託金取戻請求権を放棄する旨の意思表示をした場合には、これによって取戻請求権は消滅し、この放棄を撤回することができない。

 オ 弁済供託が供託をすべき供託所以外の供託所に供託されている場合であっても、被供託者は、当該供託に係る供託金の還付を請求することができる。

1 アイ  2 アオ  3 イウ  4 ウエ  5 エオ
 

 正解は、3 イウ
 ウの遅延損害金は「不法行為の時」からであり、イの「一部として受領する旨の留保を付す」ことが認められるのは、一般的受験生の常識か。

第11問

 執行供託に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 第三債務者は、金銭債権である給与に係る債権につき差押可能額の限度で差し押さえられた場合であっても、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができる。

 イ 金銭債権の一部に対する差押命令の送達後、配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けた第三債務者は、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。

 ウ 金銭債権の全部に対して仮差押えの執行がされた後、当該金銭債権の一部に対して差押えがされたときは、第三債務者は、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。

 エ 金銭債権が差し押さえられ、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託した後、その差押命令の申立てが取り下げられた場合には、債務者は、執行裁判所の支払委託に基づかずに直接供託金の払渡しの請求をすることができる。

 オ 第三債務者は、滞納処分による差押えがされた金銭債権について強制執行による差押命令の送達を受けたときは、当該金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。

1  アイ  2 アウ  3 イオ  4 ウエ  5 エオ

 正解は、3 イオ
 私の苦手とするところ。権利供託「供託することができる」と義務供託「供託しなければならない」に注意が必要である。アは労働基準法との関係で一見、疑問に思われるが、差押禁止債権の供託は弁済供託類似とされている。自分が給与差押をうけ、給与全額を勤務先に権利供託され、泣く泣く、供託を受諾して差押禁止債権分を還付請求するイメージを頭に焼き付ける(給与差押えされないよに!)。

第12問

 権利に関する登記の記録方法に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 登記の目的である権利の消滅に関する定めの登記は、主登記によってされる。

 イ 買戻しの特約の登記は、付記登記によってされる。

 ウ 所有権以外の権利の移転の登記は、付記登記によってされる。

 エ 所有権以外の権利の更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者があり、その承諾ない場合であっても、付記登記によってされる。

 オ 登記事項の一部が抹消されている場合においてする抹消された登記の回復は、主登記によってされる。

1 アイ  2 アオ  3 イウ  4 ウエ  5 エオ

 正解は、3 イウ
 オ(不登規3③)以外は、一般的な受験生なら即答できる内容か。


第13問

 申請情報の内容に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 地役権の設定の登記を申請する場合において、地役権者が複数名いるときは、地役権者ごとの持分を申請情報の内容としなければならない。

 イ 賃借権の転貸の登記を申請する場合において、転借権者が複数名いるときは、転借権者ごとの持分を申請情報の内容としなければならない。

 ウ 元本確定前の根抵当権の設定の登記を申請する場合には、根抵当権者が複数名いるときであっても、根抵当権者ごとの持分を申請情報の内容とすることを要しない。

 エ 信託の登記と当該信託に係る所有権の移転の登記を同時に申請する場合には、受託者が複数名いるときであっても、受託者ごとの持分を当該所有権の移転の登記の申請情報の内容とすることを要しない。

 オ A及びBを連帯債務者とする抵当権の設定の登記を申請する場合には、連帯債務者ごとの負担割合を申請情報の内容としなければならない。

1 アウ  2 アオ  3 イウ  4 イエ  5 エオ

 正解は、2 アオ
 イ、エは分からないが、アは記載例を考えれば、誤りと分かる。ウがが正しく、オが誤りなのは受験生の常識か?

第14問

 次のアからオまでの記述のうち、第1 欄に掲げる登記を申請するときに第2 欄に掲げる事項を当該登記の申請情報の内容とすることを要するものの組合せは、後記1 から5までのうち、どれか。

 ア
 第1 欄 抵当権の被担保債権の一部譲渡を原因とするAからBへの抵当権の一部移転の登記をした後、Bが譲渡を受けた債権全部をCに譲渡したことを原因とするBからCへの抵当権B持分の移転の登記
 第2 欄 BがCに譲渡した債権の額

 イ
 第1 欄 債権額が1000 万アメリカ合衆国ドルと指定された債権を被担保債権とする抵当権の設定の登記
 第2 欄 本邦通貨で表示した担保限度額

 ウ
 第1 欄 A登記所の管轄区域内にある甲土地及び乙土地の所有権を目的とする抵当権の設定の登記がされ、共同担保目録が作成された後、同一の債権の担保としてB登記所の管轄区域内にある丙土地の所有権を目的とする抵当権の追加設定の登記
 第2 欄 A登記所の共同担保目録の記号及び目録番号

 エ
 第1 欄 抵当権の登記名義人Aの死亡による相続を原因とする相続人B及びCへの抵当権の移転の登記
 第2 欄 B及びCの持分

 オ
 第1 欄 A銀行を登記名義人とする抵当権の登記にA銀行の取扱店としてB支店を表示する抵当権の変更の登記
 第2 欄 B支店を取扱店と指定した年月日

1 アウ  2 アオ  3 イウ  4 イエ  5 エオ

 正解は、4 イエ
 ウ、オが誤っているのは、受験生の基本事項。ここで正解は4に絞られる。

 第15問

 登記の原因に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 内縁関係を解消した一方当事者が他方当事者に対して財産分与を原因とする不動産の所有権の移転の登記を命ずる確定判決の正本を提供して所有権の移転の登記を申請する場合に、その登記の原因を「財産分与」とすることはできない。

 イ Aを抵当権者、Bを債務者とする抵当権の設定の登記がされている場合において、CとAとの間で、CがBと連帯してBがAに対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する契約がされたことによるCを連帯債務者に追加する抵当権の変更の登記を申請するときは、その登記の原因を「併存的債務引受」とすることができる。

 ウ 順位1 番の抵当権の登記名義人と順位2 番の抵当権の登記名義人が同一人である場合において、当該抵当権相互の順位の変更の登記を申請するときは、その登記の原因を「変更」とすることができる。

 エ 敷地権付き区分建物について、敷地権の登記名義人の承諾を得て表題部所有者から所有権を取得した者が所有権の保存の登記を申請する場合には、その登記の原因を「保存」とすることができる。

 オ Aを抵当権者、Bを債務者とする抵当権の設定の登記がされている場合において、債務者をCと交替する更改がされたことによるCを債務者とする抵当権の変更の登記を申請するときは、その登記の原因を「債務者更改による新債務担保」とすることができる。

1 アウ  2 アエ  3 イウ  4 イオ  5 エオ

 正解は、2 アエ
 ウが正しく(別人の場合は「合意」)、エが誤りなのは、受験生の基本事項。アは初めて見ました。


第16問

 不動産登記の添付情報に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 親権者が未成年者を代理して不動産登記の申請をする場合において、当該親権者の代理権限を証する情報として戸籍に記載した事項に関する証明書を提出するときは、当該証明書は、作成後3 か月以内のものであることを要しない。

 イ 法人が所有権の登記名義人である不動産について、当該法人が登記義務者となってその代表者が所有権の移転の登記の申請書に記名押印し、かつ、当該法人の会社法人等番号を申請情報の内容とした場合において、登記官がその押印に係る印鑑に関する証明書を作成することができるときは、当該申請書には当該印鑑に関する証明書を添付することを要しない。

 ウ 書面を提出する方法により不動産登記の申請をした申請人は、申請書に添付した登記識別情報を記載した書面の原本の還付を請求することができる。

 エ Aが所有権の登記名義人である甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をした後に、乙土地について抵当権の設定の登記を申請する場合において、登記識別情報を提供するときは、Aが分筆前の甲土地の所有権の登記名義人となった際に通知を受けた登記識別情報を提供しなければならない。

 オ 国又は地方公共団体が登記権利者となる権利に関する登記を官庁又は公署が単独で嘱託する場合には、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。

1 アウ  2 アエ  3 イエ  4 イオ  5 ウオ

 正解は、1 アウ
 エ、オが正しいのは受験生の基本事項。この段階で正解は1に絞られる。


第17問

 甲不動産の所有権の移転の登記(以下「本件登記」という。)の申請に際して申請人が登記義務者の登記識別情報を提供することができない場合における次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。なお、申請人はいずれも自然人とする。

 ア 登記官が本件登記の登記義務者に対して事前通知をする場合には、法令で定める期間内に当該登記義務者から本件登記の申請内容が真実である旨の申出がされた日が、本件登記の申請の受付日として記録される。

 イ 委任による代理人によって本件登記の申請をする場合において、その権限を証する情報を記載した書面に申請人が本件登記の登記義務者であることを確認するために必要な公証人による認証がされ、かつ、登記官がその内容を相当と認めたときは、本件登記の申請情報を記載した書面に同内容の公証人による認証がされていなかったとしても、登記官は、当該登記義務者に対して事前通知をすることを要しない。

 ウ 本件登記の申請代理人である司法書士から本人確認情報の提供がされたが、登記官が当該情報の内容を相当と認めないときは、登記官は、本件登記の登記義務者に対して事前通知をすることなく、本件登記の申請を却下しなければならない。

 エ 甲不動産の所有権の登記名義人の住所の変更の登記と当該登記名義人を登記義務者とする本件登記の申請を同時にした場合において、その住所の変更の登記に係る住所の変更があった日から3 か月を経過しているときは、登記官は、事前通知のほかに、本件登記の登記義務者の登記記録上の前の住所にあてて、本件登記の申請があった旨の通知をすることを要しない。

 オ 本件登記の申請が書面を提出する方法により行われた場合において、登記官が本件登記の登記義務者に対して事前通知をしたときは、当該登記義務者は、電子情報処理組織を使用する方法によって、本件登記の申請内容が真実である旨の申出をすることはできない。

1 アイ  2 アウ  3 イオ  4 ウエ  5 エオ

 正解は、3 イオ
 エは、「住所の変更があった日」から3か月経過していても、最後の変更の登記の「申請に係る受付の日」から3か月経過していないときは、事前通知を要することに注意。


第18問 不動産登記に関する代理人の権限又はその権限を証する情報(以下「代理権限証明情報」という。)についての次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 司法書士Aが申請人を代理して所有権の移転の登記を申請した場合において、その申請書に添付した委任状にAに当該登記申請の取下げの代理権がある旨の記載があるときは、Aは、当該登記申請の取下げについて別途の代理権限証明情報を提供することなく、登記申請意思の撤回を理由として当該登記申請の取下げをすることができる。

 イ 司法書士が申請人を代理して所有権の移転の登記を申請し、当該登記が完了した場合には、当該司法書士は、登記識別情報の通知を受けるための特別の委任を受けていないときであっても、当該登記に係る登記識別情報の通知を受けることができる。

 ウ 不動産に関する国の機関の所管に属する権利について命令又は規則により指定された官庁又は公署の職員が登記の嘱託をする場合には、代理権限証明情報を提供しなければならない。

 エ 委任状が不正な登記の申請のために用いられた疑いがある場合には、当該委任状が当該申請のためにのみ作成されたものでないときであっても、登記官は、当該委任状の原本を還付することができない。

 オ 司法書士が登記名義人を代理して登記識別情報が有効であることの証明を請求する場合には、代理権限証明情報の提供を要しない。

1 アイ  2 アウ  3 イオ  4 ウエ  5 エオ

 正解は、5 エオ
 アは、「登記申請意思の撤回を理由として」がポイント。ウが誤りの他は分からなかった。


第19問 

 登記原因についての第三者の許可、同意又は承諾を証する情報に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア 地目が農地である土地に売買を原因とする所有権の移転の登記がされている場合において、当該売買の合意解除による当該所有権の移転の登記の抹消を申請するときは、農地法所定の許可があったことを証する情報を提供しなければならない。

 イ 地目が農地である土地に買戻しの特約の登記がされている場合において、買戻しの期間中に買戻権が行使されたために買戻しによる所有権の移転の登記を申請するときは、農地法所定の許可があったことを証する情報を提供することを要しない。 

 ウ 地目が農地である土地について財産分与に関する調停が成立したことにより「財産分与」を原因とする所有権の移転の登記を申請する場合には、農地法所定の許可があったことを証する情報を提供することを要しない。

 エ 取締役会設置会社でない甲株式会社がその代表取締役Aに対して甲株式会社が所有権の登記名義人である不動産を売却するに当たり甲株式会社の株主総会の承認を受けたことを証する情報を記載した株主総会議事録が書面によって作成されている場合において、当該売却による所有権の移転の登記を申請するときは、出席した取締役全員の記名押印がされた株主総会議事録及びその印鑑に関する証明書を添付しなければならない。

 オ 取締役会設置会社である甲株式会社の取締役がA、B及びD、代表取締役がA及びBであり、取締役会設置会社である乙株式会社の取締役がA、C及びD、代表取締役がA及びCである場合において、Bが甲株式会社を、Cが乙株式会社をそれぞれ代表して甲株式会社が所有権の登記名義人である不動産を乙株式会社に売却し、当該売却による所有権の移転の登記を申請するときは、いずれの会社についても当該取引について取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することを要しない。

1  アイ   2  アウ   3  イエ   4  ウオ   5  エオ

 正解は、 3  イエ 
 アは「合意解除」か「法定解除」か、ウは「協議」か「裁判」か、でパラレルに考える。
 オは、「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき」会356Ⅰ②、会365Ⅰに該当するか考える。


第20問

第21問


第22問 

 地役権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

 ア Aが所有権の登記名義人である甲土地を要役地とし、Bが所有権の登記名義人である乙土地及びCが所有権の登記名義人である丙土地を承役地とする地役権の設定の登記の申請は、一の申請情報によってすることができる。

 イ Aが所有権の登記名義人である甲土地を承役地とし、Bが所有権の登記名義人である乙土地を要役地とする通行地役権の設定の登記がされた後、甲土地を承役地とし、Cが所有権の登記名義人である丙土地を要役地とする通行地役権の設定の登記の申請は、することができる。

 ウ Aが所有権の登記名義人である甲土地を承役地とし、所有権の登記はないがBを表題部所有者とする表題登記のある乙土地を要役地とする地役権の設定の登記の申請は、することができない。

 エ 地役権の設定の範囲を承役地の一部から全部に変更する登記の登録免許税の額は、承役地である土地1 筆につき1500 円である。

 オ 甲土地を要役地とする地役権の設定の登記がされた後、甲土地について抵当権の設定の登記がされている場合において、当該地役権の登記の抹消を申請するときは、当該抵当権の登記名義人の承諾を証する当該抵当権の登記名義人が作成した情報又は当該抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。

1  アウ   2  アエ   3  イエ   4  イオ   5  ウオ

第23問

 次の対話は、不動産質権(根質権を除く。)と抵当権(根抵当権を除く。)の登記の登記事項に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、誤っているものの組合せは、後記1 から5 までのうち、どれか。

教授: 今日は、質権と抵当権の登記の登記事項の違いについて考えてみましょう。これからの質問では、不動産に貸金債権を被担保債権とする質権又は抵当権の設定の登記をする事例を想定してください。
質権又は抵当権がその目的である不動産に付加して一体となっている物に効力が及ばない旨の定めは登記事項になりますか。
学生:ア 質権の登記の登記事項にはなりませんが、抵当権の登記の登記事項になります。
教授: 貸金債権の利息に関する定めは登記事項になりますか。
学生:イ 質権の登記と抵当権の登記のいずれについても登記事項になります。
教授: 貸金債権に付された条件は登記事項になりますか。
学生:ウ 質権の登記と抵当権の登記のいずれについても登記事項になります。
教授: 貸金債権の弁済期の定めは登記事項になりますか。
学生:エ 質権の登記と抵当権の登記のいずれについても登記事項にはなりません。
教授: 質権又は抵当権について存続期間の定めは登記事項になりますか。
学生:オ 質権の登記と抵当権の登記のいずれについても登記事項にはなりません。

1  アイ   2  アオ   3  イエ   4  ウエ   5  ウオ